49歳からのセミリタイア生活

49歳で早期退職しました。東京・高円寺の街あるき、時事ニュース、趣味のことなどをつづります。1日おきに更新。

桂花のラーメンを食べながら学生時代に思いをはせた

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学生時代、S君という麻雀ともだちがいました。
いわゆる雀友ですね。
いい響きだ、ジャンユウ。
大学は別々でしたが、学生向けの雀荘でよく一緒に打っていました。
彼はいわゆる「大学デビュー」組だったので、最初は弱かった。

僕らのレートは、某検事長たちの半分でしたが、大きく負けると貧乏学生にとっては少ならかぬ金額になります。
Sは負け組だったから、結構痛かったはず。
だけど、そこは麻雀の恐ろしさ、いや、面白さ。
いくら負けてもやりたいものはやりたいんですよ。
どんな時でも打てるなら打ちたい。
検事長の気持ちはよ〜く分かります。
特に初心者のうちは面白くて仕方がない。
「サルのように」という比喩がぴったり当てはまるほど麻雀を打ちたいものなんです。
Sも一生懸命バイトに励みながら雀荘に足を運んでいましたね。

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Sのいいところは、どんなに負けても決してふてくされたりせず、いつもにこやかで居続けたことです。
これって、なかなかできません。
麻雀は運不運に大きく左右されるので、とんでもなく理不尽なことがたびたび起きるんです。
それが一晩中続くときもある。
強いからといって必ず勝てるわけではない。
どんなに冷静沈着な人でも、不機嫌になるのは珍しくないんです。
だから、大負けしても必ずニッコリ支払って相手を絶対に不快にさせないSの態度は立派でした。

よく「麻雀を一緒に打てばその人の性格がわかる」と言います。
リスクを承知で積極的に打って出る人なのか、それとも慎重に物事を進めていくタイプなのか。
その人の傾向が現れるゲームです。
それと同時に、負けた時にどんな態度を取る人なのかも、じっくり観察できます。
実力があっても不運で負けることがあるゲーム。
とことんツイていない時にどんな態度を見せるのかで人格が推察される、これまた恐ろしいゲームでもあります。

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雀友たちみんなに好かれていたSから「よく通ってるんだ」と教えてもらったのが桂花ラーメンでした。
熊本のこってりトンコツスープに、シャキシャキの生キャベツが乗った独特の味。
豚の角煮をのせた太肉麺に、僕ら学生たちはハマったのです。
先日、用事があって新宿に行った時、桂花ラーメンの近くを通りました。
すぐにSのことを思い出しましたね。
思わず店の外の券売機にお札を入れてしまいました。
桂花ラーメンを食べるのは数年ぶり、いや、十数年ぶりくらいかもしれません。
普通の桂花ラーメンにするか、それとも太肉麺にするか一瞬迷ったのですが、Sの顔が脳裏をよぎったので太肉麺にしました。

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コロナ対策で、カウンターに仕切りが設けられてはいましたが、味は変わっていませんでした。
ホロリととろけるような角煮も美味しかった。
胃がもたれるのではと心配しましたが、それも大丈夫でした。
中年になっても、案外ペロリといけるものですね。
懐かしさ満載の味を堪能しました。

Sとは大学卒業後も年賀状のやり取りは続け、彼の結婚式にも行きました。
だけど、月日が経つにつれて交流は減って行き、いまはどこで何をしているのか分かりません。
桂花ラーメンから足が遠のいていったように、学生時代の交流から遠ざかっていくのは自然なことなのでしょう。
みんな、それぞれの道をそれぞれの方向へ歩いていく。
若いころに雀荘で一緒に遊んだ日々は、長い人生からすれば、ちょっとした接点に過ぎなかったと言えます。
ただ、こうやって何かをきっかけにして時々思い出す。
そのとき脳裏に浮かぶあいつの顔は、なぜか、いつも笑っています。