50歳で肩書「旅人」の同級生がいた
今年は新型コロナの影響で、さまざまなイベントが延期や中止になっています。
結婚式も延期が多いらしいですね。
高齢の親族も多数集まるので、仕方ないかと思います。
人気の教会や神社などは次の予約を取るのが難しいのでしょうか、「1年後に延期」を決めたカップルもいるようです。
みんな思いますよね。
1年後、カップルがちゃんと続いているといいなって。
大丈夫かなって。
若いころの1年って、何が起きても分からないですからね。
それはそれとして。
ぼくにも新型コロナの影響がありました。
高校の同窓会が中止になったのです。
卒業以来、30年以上ぶりに一同が集う機会でした。
高齢の恩師らも招待されていたので、中止は妥当な判断だと思います。
ぼくはそれほど高校に思い入れがないので、そんなに残念ではありません。
別に熱く語り合う話題もないし、会社も辞めたので仕事上のメリットもないんです。
昔話って、楽しいですかねえ。
同窓会は中止になりましたが、消息が分かる人の名簿作成は進んでいるようです。
眺めていると、名前のほかに、希望者は肩書をつけています。
「田中太郎 〇〇銀行」「鈴木次郎 〇〇製作所」みたいな感じ。
これ、改めて考えると不思議じゃないですか。
30年ぶりに会う人のアイデンティティーが、働いている会社の名前って。
だって高校時代は、あいつは足が速かったとか、やたら声が大きかったとか、スポーツで全国大会に出たとか、その人を表すものってまちまちだったはずです。
みんな、それぞれの特徴で人物像を記憶している。
なのに、30年後に会う人間を表すものが一律に、勤めている会社の名前になってしまうんですよ。
いかにも会社人間社会のニッポンですね。
ぼくは肩書ナシですが。
そんななか、目を引いた肩書がありました。
「旅人」です。
いやあ、勇気ありますね。
拍手です。
パチパチパチ。
これが20代だったら分かります。
「オレは旅して生きてるんだ」「ほかのヤツとは違うぜ」と粋がる気持ちは理解できます。
でも、みんな50歳なんですよ。
20代で「旅人」を名乗るのとは意味が違います。
50歳にして「旅人」を肩書にできるのって、スゴクないですか?
いったい、何をやって生きているんでしょうか。
高校時代は目立つ存在じゃなかった男なので、そいつのことはあまり記憶にありません。
だけど、30年を超える月日は一人の男を旅人に変えたのですね。
ともかく、誰もが「〇〇証券」じゃなくて、よかった。
日本もまだ捨てたものじゃない。
なんだかほっとしました。
ぼくも次の機会があったら「遊び人」でも名乗ろうかな。