おしゃべり禁止の喫茶店「アール座読書館」で本の世界に入り込んだ
高円寺と言えば、ミュージシャンの街、芸人の街というイメージがありますよね。
古着屋さんも多いし、特色のある飲み屋もたくさんあります。
サブカルの街という印象は、間違っていません。
だけど、それはこの街の一面に過ぎません。
高円寺の路地裏を歩くと、こんな「街の本棚」を見つけることができます。
街の人たちが、みんなに読んでもらいたい本を置いておく、街角の小さな図書館ですね。
以前は、閉じられたシャッターに文庫本を吊るしていたところもありました。
古本屋さんも多く、古書市場も定期的に開かれています。
古本と言えば、「古本居酒屋」の「コクテイル書房」もあります。
古書に囲まれながら、文学をテーマにしたカレーや料理を食べる。
もちろん、目の前にずらりと並ぶ古本を買うこともできます。
店の外の壁には「街の本棚」もありますね。
サブカル的なものだけでなく、ちゃんと知的な空間も併せ持っている。
この懐の深さと多面性が高円寺の魅力なのです。
ぼくも先日、文庫本を一冊持って街を歩きました。
向かったのは、「アール座読書館」。
入り口の小さな看板には、こう書いてあります。
「どうぞ静かな時間をお過ごし下さい。お話が出来ません。お食事メニューはありません」
まさに、本を読むための喫茶店です。
自分たちの街にこんな店があるのって本当に贅沢だなあと思います。
中に入ると、窓際に趣のある洋風の机が並んでいます。
一つを選んで座りました。
店の奥には本棚があり、本がずらりと置かれています。
水槽があるスペースもあるので、これをゆっくり眺めて過ごすこともできます。
何種類もあるコーヒーからキリマンジャロを選んで注文。
すると、熱いポットに入って運ばれてきました。
これはうれしい。
コーヒーが熱いまま、3〜4杯は飲めます。
680円とややお高めだけど、これだけ飲めればコスパはいい。
ゆっくり本を読むとき、どうしても何杯かおかわりが欲しくなりますからね。
本好きの気持ちがバッチリわかっているお店です。
店には、インストルメンタルの静かなBGMが流れています。
あとは、水槽にチョロチョロと注ぎ込む小さな水音だけ。
14時ちょうどになったら、時計の鐘が鳴りました。
ひたすら、本の世界に浸ります。
一編の小説を読み終わり、会計する時に見回すと、店はいつの間にか満席でした。
人の出入りに全く気づかなかったくらい、静かな、静かな世界。
680円の贅沢なひとときでした。