49歳からのセミリタイア生活

49歳で早期退職しました。東京・高円寺の街あるき、時事ニュース、趣味のことなどをつづります。1日おきに更新。

「藤井聡太2冠」が誕生する確率は90%とみる

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明日9日は、将棋界にとって歴史的な日になる可能性があります。
いや、将棋界だけではありません。
新聞の当番編集長は1面のスペースを空けて待っているでしょうし、テレビのニュース番組もしっかりと枠を確保しているでしょう。
17歳の藤井聡太七段の初タイトル獲得がかかっているのです。
棋聖戦渡辺明棋聖に勝てば、史上最年少のタイトルホルダーが誕生します。
コロナや災害で暗いニュースが続いていますが、久しぶりの明るいニュースで沸き立つことは間違いありません。

ぼくは小学生のころから将棋が好きで、ずっと将棋界をウォッチしてきました。
腕前はヘッポコだけど、天才たちが凌ぎを削る将棋の世界ってすごく面白いのです。
しかも、ちょうど「羽生世代」なんですよね。
羽生善治佐藤康光森内俊之藤井猛ら、そうそうたるメンバーが前の世代を次々となぎ倒していってタイトルを獲得しまくる。
同じ年代の棋士たちの活躍に、なんだか自分も嬉しくなって応援してきました。
だから、ヘッポコなりに将棋観戦歴は40年近くにのぼります。

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そのベテラン将棋ウォッチャーの目からしてみても、藤井聡太の強さは驚異的です。
将棋って、残酷なまでに才能の世界です。
プロになる人たちが努力をするのは当たり前。
その先は、才能と才能のぶつかり合いになります。
才能って、分かりづらいですよね。
将棋にはすぐにわかる指標があります。
年齢です。
強い人は子どものころから勝ちまくるのです。
「大器晩成」という言葉は、この世界には存在しません。
名人に上り詰めた棋士は、若いころから嘱望された人たちばかりです。

将棋界にはプロを目指す人たちが競う奨励会という場があります。
「プロの卵」たちが、子どものころからひたすら真剣勝負をしてプロの座を争います。
残酷なことに、もうこの時点で才能のきらめきに大きな違いが現れています。
羽生善治は、プロ入り前の奨励会時代から「将来の名人だから」と周囲から大切に扱われてきたそうです。
奨励会のころから勝ちまくっていて、その才能は誰もが認めていたのです。
「将棋界の宝」に対しては、周りも悪い遊びに誘ったりしないんですね。

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ところで、「将棋世界」という将棋専門誌があって、ぼくもちょくちょく買って読んできました。
タイトル戦を中心にいろんな棋戦の記事が出ているのですが、そこで奨励会の成績を眺めるのが将棋のツウってもんです。
根っからの相撲好きが序の口や序二段の力士を品定めするような感じですかね。
将棋は四段からプロになるシステムで、その手前の三段のリーグ戦が最も大きい関門とされています。

将棋世界」をみると、今の三段リーグには31人が参加。
ここから上位2人だけがプロ入りできます。
31人のうち、20代が20人で10代は11人。
最年少は15歳で、最年長は25歳。
13歳で三段リーグに入り、史上最年少の14歳2ヶ月でプロ入りした藤井聡太がいかに若いかが分かりますね。
ぼくは藤井聡太が級位者のころから「こんな若いやつがいるんだ」と注目していました。
あれよあれよと駆け上がっていって、ただただびっくりしましたね。

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さて、明日の棋聖戦の話。
先に3勝した方がタイトル保持者になる「五番勝負」の戦いで、藤井聡太はすでに2勝しています。
相手は36歳の渡辺明棋聖です。
ほかに棋王と王将も保持していて、現在3冠。
藤井聡太と同じく、将棋界で5人しか出ていない中学生棋士のひとりです。
「羽生時代」の次は、「渡辺時代」が来るのではと言われていました。
タイトル獲得数は歴代5位の25期と実績は十分ですが、どうやら「渡辺時代」を築くことはできそうにありません。
下の年代から豊島将之名人・竜王らが台頭し、さらにその下から藤井聡太が出てきた。
渡辺明が今後、彼ら全員を蹴散らして勝ちまくるのは難しいでしょう。

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渡辺棋聖が防衛するには、藤井聡太に3連勝するしかありません。
単純に確率を計算すれば、0・5×0・5×0・5=0・125
12・5%は可能性があることになります。
実は、渡辺明は七番勝負のタイトル戦で将棋界初となる「3連敗のあと4連勝」という快挙を成し遂げたことがあります。
2008年の竜王戦で、相手はあの羽生善治
メンタルの強さと巧みな勝負術で知られる渡辺棋聖なので、その再現がないとは言えませんが、今の調子を考えると難しそうです。
藤井聡太の初タイトル獲得の確率は9割以上あるとみます。

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明日は棋聖戦の話題一色になるでしょうが、藤井聡太はもう一つタイトル戦に挑戦しています。
木村一基に挑んでいる七番勝負の王位戦です。
すでに藤井聡太が1勝を挙げていて、次が第2局となります。
先に「将棋界に大器晩成はない」と書きましたが、木村王位は苦労人です。
昨年、7回目のタイトル挑戦で悲願の初タイトルを獲得したのです。
46歳3ヶ月での初タイトルは、従来の記録を8歳以上更新する最年長記録。
インタビューで見せた涙に、すべての将棋ファンが感動しました。
いつもは自身を「将棋の強いオジサン」と呼び、軽妙な話術でファンを楽しませてくれます。
お酒が好きな酔っ払いキャラで、ぼくも大好きな棋士です。
だけど、王位戦はほぼ100%藤井聡太が奪取するとみます。
木村王位の今の力で、藤井相手にここから4勝2敗以上の成績を挙げられるとは思えないのです。
昨年は「最後のチャンス」と思ってタイトル戦に挑んだに違いなく、最後は執念で勝利をもぎ取りました。
悲願を達成した今、それと同じ執念を再び発揮できるかどうか。
差がついた第1局の内容をみても、かなり厳しそうです。

というわけで、近いうちに「藤井聡太2冠」が誕生する確率は9割あるとみています。
藤井聡太竜王戦も勝ち残っていて、タイトルラッシュになる可能性もあります。
「羽生7冠」誕生の時と同じかそれ以上の藤井フィーバーが、きっとやってくるでしょうね。

いまでもフィーバーって使うのかな。

どうしても「♪ぼくの先生は~フィーバー!」を思い出してしまうけど。

どっちにしてもフィーバーに乗り遅れちゃいけませんよ~