東京都の「抗体保有率0・1%」はどれくらい正確なのかを検証してみた
先日、新型コロナウイルスへの感染歴を調べた抗体検査の結果が発表されました。
東京都の保有率は0・1%、大阪府は0・17%、宮城県は0・03%という数字が公表されました。
この数字を見て、「東京は宮城の3倍あるんだ」とか、「大阪は東京より多いんだな」と感じる人がいるかもしれません。
はたしてそうなのでしょうか。
ぼくは統計学はわからないので、調べてみることにします。
わかりやすく説明してくれるサイトを見つけました。
何人くらいにアンケートを取れば良いんですか? – アンケート集計ならトリム
結論だけを言うと、
許容誤差を1%にしたいなら約10000人のサンプルが必要だが3%なら約1000人、5%なら約400人のサンプルで十分
ということです。
東京都民は1400万人います。
100%の正確性を求めるなら1400万人の調査が必要です。
だけど、1%の誤差を許容する場合、必要なサンプル数はぐっと減ります。
具体的に言えば、1%の誤差を許すなら1万人を調査すれば十分です。
3%の誤差があっても大丈夫なら必要なサンプル数は1000人になります。
たとえば内閣支持率を調べたいとします。
支持率35%と38%の3%の違いは大きすぎると考えるならば、1万人のサンプルを集めて誤差を1%にとどめないといけません。
だけど、「35%も38%も同じようなもので、前回の57%から大きく下落したことに変わりない。その傾向が分かればいい」と考えるなら、誤差の3%を受け入れてサンプルは1000人でいいということになります。
実際、マスコミの世論調査のサンプル数は1000人~2000人規模が多いようです。
さて、今回の新型コロナ抗体調査のサンプル数を見てみましょう。
東京は1971人、大阪が2970人、宮城は3009人です。
1000人よりは多いが、1万人には達していない。
つまり、1%と3%の間の誤差があるということです。
これで分かりましたね。
この調査は、「20%」と「30%」は明らかに違うと言い切れるだけの正確性があるけれど、「0・1%」と「0・17%」は誤差の範囲内で、どちらが多いとは言い切れないということです。
厚生労働省は「抗体保有率は感染率よりも高かったが、大半の人に抗体がないことが分かった」とコメントしていますが、これくらいの認識が妥当だと言えるでしょう。
ひとことで言えば、「日本での抗体保有率はムチャ低い」ということで、それが分かれば調査の目的を果たしたのではないでしょうか。
ちなみに、NHKの記事によると、ニューヨークでは12・3%、スウェーデンのストックホルムでは7・3%に抗体が確認されているそうです。
「欧米に比べても日本の抗体保有率はものすごく低い」というのは間違いないようです。