日本市場で圧倒的に足りない人材を、キャリアコンサルタントに聞いた
先日、新宿のハローワークを訪れました。
3月に会社を早期退職して、現在は無職の身ですからね。
雇用保険をもらうために足を運ばないといけないんですよ。
新型コロナで緊急事態宣言が出ていた5月もそこそこ人がいたのですが、先日は圧倒的に多かった。
申請を出して呼び出されるまで待機するための椅子が置いてあるのですが、もちろん満席。
周りにもたくさん人が立っていて、まさに「密」状態です。
2メートルの距離を保てといっても、無理ですよね。
申請者は受け取った番号札を持って待ち、職員が番号を呼ぶ方式です。
対応は順番通りとはいかないので、呼び出される番号はまちまち。
しっかりと聞いていないといけないのですが、あちこちの窓口から「842番の方!」「863番はいませんか?」などと一斉に番号が呼ばれるので、ちょっとしたカオスです。
職員のみなさんも大変です。
ぼくは早期退職した際に転職支援の会社に登録したので、そこでキャリアコンサルタントに「就職相談」することができます。
コンサルタントが予測していたのは「もし転職するなら急がないといけない。6月になると急激に求職希望者が増えるだろう」ということでした。
それが現実となったようです。
訪れている人を見ると、若い年代の女性が多い。
非正規雇用で働いていたのが、新型コロナの影響で職を失ったのでしょう。
外出自粛が解禁となって会社が動き出した途端に、解雇を知らされたのかもしれません。
難しいと思うのは、職を失ったときに同じ業界で働くのは厳しいだろうということです。
いまは飲食やアパレル業界が大きな痛手を負っています。
その業界で何年、何十年と働いてきた人たちが失業しているのですが、再就職先を同じ業界で求めようとしても、どこの会社も新たに人材を雇う余裕はないでしょう。
その業界で培ってきた知識や経験、人脈が何の役にも立たず、まったく新しい業界で一から職を探すというのは、かなり大変です。
ところで、転職支援のキャリアコンサルタントと話していたときに、「いま求められるのはどんな人材か」を聞いてみました。
彼は即答しましたね。
「統計の専門家と、サイバーセキュリティーの技術を持っている人です」
なるほど。
いまや統計学はどんな分野でも必須の学問ですよね。
今回の新型コロナでも北海道大学大学院・西浦博教授の感染症数理モデルが大きな注目を浴びました。
マーケティングやネットの世界を含めて、統計学を身に着けた人はどんな分野でも引っ張りだこのようです。
サイバーセキュリティ―の技術も、あらゆる企業で求められているので納得です。
「日本では圧倒的に不足しています」とコンサルタントは話していました。
よし、わかった。
さあ、これから勉強して統計学とサイバーセキュリティ―技術を身につけよう!
どんな企業からも引く手あまたになって、ウハウハの人生を送るぞ!
そうはならないところがミソです。
たとえば介護職や保育士、タクシーの運転手などは、誰でもなれるとまでは言わないまでも、多くの人たちがなることができます。
仕事を失ってタクシーの運転手や介護職に転職する人たちは多い。
もちろん、とても大事な仕事ですが、簡単になれる職業は給料が安いのが市場原理です。
では、統計分野やサイバーセキュリティ―はどうでしょうか。
どれだけの人たちが微分積分や難解なコンピューター技術を理解して専門家になることができるでしょうか。
きっと多くが壁にぶち当たって脱落するし、そもそも、ほとんどは最初からあきらめて挑戦しないでしょう。
仕事のやりがいや面白さの側面も考えないといけません。
保育や介護の仕事には、子どもたちと触れ合ったりお客さんから感謝されたりといった、わかりやすい喜びがあります。
だけど、統計やサイバーセキュリティ―の仕事を面白いと思うかどうかは、個々の適性に大きく左右されますよね。
結局、求人が殺到するのは、困難でやり手の少ない人材に対してだということ。
身もふたもない結論になってしまいましたが、これが世の中の現実です。
ただ、10代、20代の若い世代は、頭の片隅にでも入れておくといいかもしれません。
ちょっとでも数学に興味があれば、頑張って統計を勉強した方がいいよ、きっと。