コロナで死ぬ確率と交通事故で死ぬ確率、どっちが高い?
世の中はリスクであふれています。
街を歩いていたら交通事故に遭うかもしれないし、もしかしたら強盗に襲われるかもしれない。
旅行に出かけたら乗った飛行機が落ちる可能性はあるし、山登りしたら足を滑らせて落ちてしまうかもしれない。
でも、みんなそれを承知の上でリスクを受け入れ、生活しています。
先日、こんな興味深い記事を見つけました。
こんなことが書いてあります。
書籍『もうダメかも 死ぬ確率の統計学』では、100万分の1の確率の死亡と定義されるリスクの単位「マイクロモート」を用いて、その確率を表現している(1マイクロモートは、小惑星に衝突されて死亡する確率とほぼ同等)
「リスクの単位」というのがあるのを初めて知りました。
小惑星に衝突されて死亡する確率というのが面白いですね。
さて、ぼくが気になる登山のリスクについても書いてありました。
といっても、高尾山レベルではありませんが。
登山はどうだろう。1990年から2006年の16年の間に、8000m級のヒマラヤ山脈に登ったのは約2万人。そのうち亡くなった人は238人とされており、これは1登山当たり約1万2000マイクロモートにあたるとされており、「このレベルの登山は第二次世界大戦中の空爆の出撃より危険(中略)」と同書で指摘されている
ヒマラヤ山脈に登るリスクの高さは予想していましたが、空爆の出撃より危険というのはすごいですね。
数字で示されているので、説得力があります。
興味深かったのは、より身近な次の二つのリスクについて。
スキューバダイビングとランニングです。
スキューバダイビングはどうか。3万5000人の会員を抱えるBSAC(British Sub-Aqua Club)では1998年から2009年の12年の間に、197人が死亡したとされている。その間、約3000万ダイブがされたと推定されるようで、これをみると約8マイクロモート
最も身近なランニング、ジョギングについて。1975年から2004年の間で、アメリカでマラソンを走った330万人のうち、26人が突然死したという。これは1マラソンあたり平均約7マイクロモート
スキューバダイビングとランニングのリスクが、ほぼ同じというのは驚きです。
たしかに中高年のランナーが急死したというニュースはちょくちょく流れますからね。
マラソンに挑戦する人は、スキューバダイビングと同じくらいのリスクがあると考えて始めないといけませんね。
さて、ここからが本題です。
最近は新型コロナの感染者がまた増加傾向にあり、「第2波」を心配する声も出ています。
実際のところ、新型コロナにかかって死亡するリスクってどれくらいあるのでしょうか。
身近なリスクである交通事故と比べてみました。
日本の交通事故死者数は、このように推移しています。
1970年に1万6765人を記録して以降、減っていき、その後は1万人前後が続きました。
2000年ごろから一気に減少し、昨年は3215人。
統計が残る1948年以降での最少を3年連続で更新しています。
10万人あたりの死者数は2・54人です。
新型コロナによる死者数はどうでしょうか。
2月に最初の死者が出て以降、7月2日現在で977人。
ただし6月以降は、ほぼ毎日1桁かゼロで推移しています。
グラフを見る限り死者数が増加するスピードはピタッと止まっている形です。
それでも「第2波」がやってきて、今年1年で977人の2倍の1954人が亡くなると仮定して計算してみましょう。
すると、10万人あたりの死者数は1・54人になります。
もし「第2波」によって「第1波」と同じ死者数が出たとしても、交通事故で死亡するよりは4割ほどリスクが低いという計算になります。
2000年ごろの交通事故死亡確率と比べれば、5分の1くらいのリスクとなります。
みなさん、交通事故には十分注意していると思います。
道路を渡るときは左右をよく確認するし、車を運転しているときはスピードに気をつける。
それでも交通事故は起きるし、死亡する可能性はある。
だからと言って、「交通事故が怖いから外に出ない。車に乗らない」という選択肢は取っていないでしょう。
みんなリスクを受け入れて外出し、日々の生活を送っているのです。
新型コロナに関しても、マスクや手洗いを励行し、ソーシャルディスタンスを心がけて感染予防に気を配ります。
それでも感染リスクは完全にゼロにはなりません。
ただ、死亡リスクは交通事故よりはずっと低い。
もし「交通事故に遭うのは仕方ないけど、新型コロナに感染するのは怖い」と考え、去年までは普通に外出しておきながら今年はひたすら家に引きこもっているのなら、それは合理性を欠いた判断だと言えるでしょう。
感染爆発が起きていない今は、「3密」を避けるなど環境に気をつけながら、リスクを受け入れて日常生活を送るのが合理的な行動ではないでしょうか。